

フランス領アルジェリアで生まれたイブ・サンローランは、少年時代から服飾デザインに興味を持ち、17歳でコンクールに優勝。クリスチャン・ディオールの店に迎えられ、彼の急死により21歳で後継者となった。
1966年に発表した「スモーキング・ルック」は、男性のタキシードのデザインを取り入れた、女性初のパンツ・スーツ。ハイヒールで着こなす、凛としながらもエレガントでセクシーな女性のパンツルックは、世界のファッション関係者をあっと言わせると同時に、多くのアクティブな女性たちの支持を得た。現代の女性たちがビジネスシーンからパーティーシーンまで、さまざまに着こなしているパンツスタイルの元は、サンローランが創り出したのである。
そのほかにも、シースルーやサファリ・ルックなど、それまでの常識を打ち破る斬新なデザインを次から次に発表し、その多くがファッションの代表的なスタイルとして確立。サンローランは「モードの帝王」の名をほしいままにしてきた。もてはやされては消えてゆく流行とは別に、彼のデザインは、女性たちが自立をめざす時代の流れを着実にとらえ、衣服でそのトレンドを後押しする役割を担ったともいわれている。
サンローランは、2002年、パリのオートクチュール・コレクションを最後に引退。2008年6月にこの世を去った際は、ファッション界だけでなく映画やアートなどさまざまな世界の人々が別れを惜しみ、サルコジ仏大統領夫妻も哀悼の意を表した。